Don't cry baby,please !!

少女フェミニストの備忘録

『おにいさまへ…』に読み取れる百合というシスターフッド

 初めまして、maiです。

 普段は百合小説を書いています。一応、少女フェミニストなるものを冠しております。このブログでは少女フェミニスト大塚英志)としてさまざまな表現ジャンルを通して、それをフェミニズム的に読解していこう、というのがこのブログの趣旨です。

 

 さっそく、読み解いてみましょう。

 

 第一回目は池田理代子さんの作品『おにいさまへ…』です。

 比較的に手に入りやすいのが中公文庫です。

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 表紙を見る限り、池田理代子さんの代表作『ベルばら』と近いなあと思われるかもしれません。何を隠そう、『おにいさまへ…』は「『ベルばら』を学園もので!」という編集さんの言葉から生まれたらしいです。1974年から連載されました。

 そして『ベルばら』のアニメ化を務めた出崎統監督によって1991年NHKーBSでアニメ化されました。全39話。

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おにいさまへ... 「予告編」.flv - YouTube

 現在(2014年11月26日)バンダイチャンネルで全話、観られます。

 さてさて、ここらからネタバレ満載なので、読む方は気を付けてくださいね!

 

 1巻の冒頭はこんな感じ。

あれは…恋ではなかったのです

ほんとうにだんじて恋などではなかったのです

    (『おにいさまへ…』1巻 p.6)

 

  このあと塾の講師をしていた「おにいさま」に文通相手になってほしい、と主人公奈々子は告白します。しかしそれは恋=性愛ではなく、女子高という世界の外にいる「おにいさま」に奈々子はいろいろ打ち明けます。

 アニメ版だと奈々子は常に女子高であった嬉しいこと・不条理なことを独白とも似たかたちで「おにいさま」へ語り続けます。

 

 さてさて、『おにいさまへ…』は『ベルばら』の学園バージョンと書きましたが、女子高でどんな革命がおこるのだ! という疑問もありましょう。

 『おにいさまへ…』ではフランス革命にあたるのがソロリティ制度の崩壊です。ソロリティってなんやねん、と思われるかたにご説明。

 ソロリティとは奈々子の通う女子高の容姿・家柄・成績優秀・健康が兼ね備わった生徒たちを集めたクラブのようなもの。この女子高のなかの特権階級です。これを巡って、奈々子は嫌な思いをたくさんするのですが、まあそれは今は置いておくとして。

 

 『ベルばら』ではオスカル(男装の麗人)とアンドレ(男性)という強烈な、すこし不思議なカップルがいましたが、『おにいさまへ…』ではカップリングがたくさんあります。しかも「おにいさま」は基本的に外の世界の人間なので、重要は重要ですが、物語後半まで出番を譲っています。

 『おにいさまへ…』を百合(シスターフッド)だと思う根拠を一例、挙げておきましょう。

異性であるとか 同性であるとか… そんなことはすこしも問題じゃない

問題なのは その人の心に… その人の愛に…どうこたえるか…あるいはこたえないか

     (『おにいさまへ…』2巻 p.37)

 『おにいさまへ…』をこの一文だけ読んでも百合とうかがい知ることが出来るでしょう。

 私は百合を女性同士の堅い絆と解釈しています。それが必ずしも恋愛である必要はないと思っています。もろい恋愛もあれば、決して裂けることのない友情もある。その友情が百合ではないと誰が言えましょうか。

 

 『おにいさまへ…』はさまざまな形態のおんな同士の絆を見ることができます。

 奈々子とサン・ジュストは恋と同情。

 マリ子と薫の君は憧憬。

 サン・ジュストと薫の君の友情

 一ノ宮蕗子とサン・ジュストは軽蔑と尊敬。 etc……

 

 とにかくありとあらゆるおんなの絆が見ることができます。百合を恋だけに限定してしまうのはもったいない。登場人物たちの絆は確かにありえる絆なのですから。

 

 ボーヴォワールは「(男が作った)社会というものに女が適応するには同性愛的気質がなければ生き抜けない」と『第二の性』で書いていましたが、まさしく社会が作った「女子高」という不思議でまだ新しい文化のなかでは少女たちは結託し、ときにはそれが分裂して、生き抜かなければならないのです。

 

 おんなであることは一種のサバイブ系なのです。

 

 「社会」を生き抜くためにこそ友情、シスター・フッドが必要などだと『おにいさまへ…』から教わりました。

 

 そろそろ締めますが、この『おにいさまへ…』はマンガとアニメでは微妙にエンディングが違います。どちらのエンディングがお好みか、読む・観るひとによって違ってきます。どちらも説得力のあるエンディングですが私はアニメ版の方が好きです。もし興味を持たれて読んだ・観たという方はぜひ、どちらのエンディングが好きか教えて下さいね。