Don't cry baby,please !!

少女フェミニストの備忘録

第6回5月27日フェミ勉レジュメ『HER』『愛すべき娘たち』 シスターフッドと「世界の決まり」

今回のフェミ勉はインターバルと称し、ヤマシタトモコさんの『HER』とよしながふみさんの『愛すべき娘たち』を取り上げます。

 

HER(Feelコミックス)

HER(Feelコミックス)

 

 

 

愛すべき娘たち (Jets comics)

愛すべき娘たち (Jets comics)

 

 

スピヴァクの復習からしたいと思います。

スピヴァクは西洋フェミニズム第三世界フェミニズムの関係にシスターフッドはなく、シスターフッドという概念は欺瞞に満ちていると書いてありました。

果たして本当にシスターフッドという概念は欺瞞に満ちているのか、欺瞞だけが存在するのか、私には大いに疑問です。シスターフッドという概念を探りたく、この二冊のマンガを取り上げさせて頂きます。

 

『HER』の第三話にこんなくだりがあります。

…花を好きなのを黙っていたことも名字が嫌いなことも2年もすれば忘れて

その三年後には今気にしているようなことはどうでもよくなる

…その5年後16歳の自分が大切なものをドブに捨ててきたことに気づく

――……何それ 予言?

人類にあまねく降りかかる呪い 世界のきまり

ナイスなおばあさんが女子高生に説くシーンです。私は雑誌掲載のときこれを読んで、このシーンの印象をよく覚えています。

登場人物の女子高生・西鶴は実生活に少しの違和感を持って過ごしています。その悩みをくだらないと切って捨てるには、あまりにも物分かりの良い大人です。ナイスなおばさんがそう言うのは、自分の経験に裏打ちされたものだと、分かるはずです。

私はここでシスターフッドというのを感じました。またナイスなおばさんはこうも言います。

 永遠に孤独だけど 孤独なのは 自分だけじゃないし

繋がらずに生きては ゆけないから 終われない

それも世界のきまりよ 安心でしょう

 

対等なもの同士が絆を築くわけではありません。むしろ対等なもの同士という言い方に違和感を私は覚えます。本当に対等なもの同士というものが本当に存在しているか、謎です。立場が違うもの同士が絆を築けるからこそ、シスターフッドと言うのではないでしょうか。

 

また5話ではこんなモノローグがあります。

 あなたが欲しいと言った かわいい顔なんていらない

あたしはあなたのような 女の子に生まれたかったのです

 

この5話での主人公・花河はいわゆるもてるために努力している努力している可愛い女の子です。仕事をばりばりこなす本美に愛憎を抱いています。これもまたひとつのシスターフッドとらえることができるのではないでしょうか。愛の反対語は無関心です。花河はそのことをよく知っています。だからこそ、憎悪を抱いてしまうほど、本美に惹かれていることを認めることによってこの話は終わります。

 

『愛すべき娘たち』にも触れてみましょう。

麻里と雪子は母と子で長い間、暮らしていたが、麻里は雪子より年下の俳優のたまごである大橋と結婚することになります。雪子は麻里に騙されていると忠告しますが、麻里は頑として聞きません。一緒に暮らしていって雪子は大橋がいい青年だと知りますが、腑に落ちません。そして家をでていくことを決めます。

 たとえどんな男だって麻里さんを雪子さんから取っちゃう男は 雪子さんは駄目なんだ

そうよ! ずっとあたしだけのお母さんだったのよ

 

雪子は泣きながらそう告白します。そして麻里が雪子にもたれかかる場面でこの話は終わります。

母と娘というのは関係を説明するのは難しいものですが、ここには淡いシスターフッドを感じることができます。母と娘というのは原始的なシスターフッドの関係性を見出すことができると思います。

 

また4話でもシスターフッドを見ることができます。主人公の「私」と牧村と雪子は中学時代、友だち同士でありました。牧村は生涯、民間企業で勤めあげるということを目標にしていましたが、牧村は家庭に入ることになりました。その背景には家庭内暴力がありました。そのことに「私」は後年、気づくのです。「私」は雪子の葉書で涙を流します。

 あの時話した ささやかな夢をかなえた事のできた

友達がちゃんといてくれたんだ

 

必ずしも同じ傷を持つ者同士が連帯するわけではありません。差異があるからこそ、シスターフッドを築けるのです。互いにその立場で振る舞うことが傷つくことになるかもしれませんが、それでも繋がらずにはいられないのが人間です。その立場から頑張っているから、私も頑張れるのだ、ということを日々感じています。

 

今回レジュメで取り上げられなかった回もありました。いろいろと皆さんのご意見を交換したいと思います。