Don't cry baby,please !!

少女フェミニストの備忘録

11月5日フェミ勉レジュメ 『女嫌い ニッポンのミソジニー』 ①「女好きの男」のミソジニー~④「非モテ」のミソジニー

①「女好きの男」のミソジニー(p.7~21)

 ミソジニーとは何か

ミソジニー=「女性嫌悪」・「女性蔑視」・「女性憎悪」 あまりにも自明であるため意識されることすらない 

 

 吉行淳之介永井荷風

吉行淳之介の小説=究極の男性支配を言語的に遂行したテキスト 奥本大三郎「しかし、女性嫌悪思想の持ち主というのは、どうしても女に無関心でいられないのか、その弱点なのである」=男性としての性的主体化をとげるためには女という他者に依存しなければならないという背理に彼らが敏感だからだ=自分を性的に男だと証明しなければならないたび、女という理解を越えた生き物にその欲望の充足を依存しなければならい男の怨嗟

男は内心どこか女なしでやっていきたいと思っている

吉行の小説=描かれているのはリアルな女ではなく、女に対する男の妄想

性の相手が多い場合=権力と金力の誇示

反俗を気取った「性の探求」小説=おどろくほど通俗的なポルノの定石どおりに展開される ポルノグラフィの到達点=女の快楽

性幻想をまきちらかした戦犯のひとり 吉行の作品を読んで女はわかるか?→女とは何か、何者であるべきか、何者であってほしいかについての男の幻想について­=「オリエンタリズム」に共通する

永井荷風=「女性嫌悪思想に連なる作家」 女を別人種と見なしていた

 

 女から逃走する男たち

男の作品を「男の性幻想についてのテキスト」として読めば学ぶことはある

性文学における女とは男の内面が成立する私的な場所

近代女性文学には男という幻想が希薄なことが特徴

対幻想は男の見た夢だった。

 

ホモソーシャルホモフォビアミソジニー(p.23~35)

 男の値打ちはなにで決まるか?

女の値打ちは男に選ばれることによって決まるが、男の値打ちは女に選ばれることによって決まらない=異性愛の秩序は非対称

男は世界の覇権ゲームが好き 覇権ゲームに勝者になれば女は後からご褒美として自動的についてきた 例)昔のホリエモン 

男同士の強い絆=ホモソーシャル

 

 男の連帯の成立条件

ホモソーシャル=「性的であることを抑圧した男同士の絆」

フロイトの「なりたい欲望」と「持ちたい願望」とを異性の親にそれぞれ振り分けることに成功した者が異性愛者になる

同性愛者=「なりたい願望」と「持ちたい願望」の性分化に失敗した者

「あの人のようになりたい」と「あの人を自分のモノにしたい」とは重なり合う=ホモソーシャルのなかにはホモセクシュアルな欲望が含まれ、連続体である

男の歴史は「なりたい欲望」と「持ちたい欲望」の調節に苦労してきた歴史。例)古代ギリシャ

ホモソーシャルな連帯とは性的主体と認めあった者同士の連帯である

ホモソーシャリティホモフォビアによって成立する 女を客体化することを互いに承認しあうことによって性的主体間の相互承認と連帯が成立する

女を自分たちと同等の性的主体とは決して認めない、女性の客体・他者化=ミソジニー

ホモソーシャリティは、ミソジニーによって成立し、ホモフォビアにとって維持される

 

 男は性について語ってきたか

猥談­=男として「性的主体」であるか相互に確認する儀式

男は本当に性について語ってきたか? 問題

男が「男になる」ための同一化と排除はひとりではできない 「差別するのは三人の人間がいる」「差別とは、ある人を他者化することによって、それを共有するある人と同一化する行為である」=性差別の定義にも当てはまる。

 

③性の二重基準と女の分配支配――「聖女」と「娼婦」という他者化(p.37~52)

 ジェンダー・人種・階級

「しょせん、人種がちがうのよ」=わかりあえないとき、わかりあう努力を放棄したとき

サイード:相手を理解不可能な存在として放逐する様式には人種化とジェンダー化のふたつがある 『オリエンタリズム』=「東洋とは何かについての西洋の知」 例)『蝶々夫人

ジェンダーと同じく「人種」も歴史的構築物である=「白人でない者」を排除することで「白人であること」を定義するための装置

トニ・モリスンの指摘:『ハックルベリー・フィンの冒険』でハックの「白人性」の確認のために黒人の逃亡奴隷が不可欠な役割を果たした→「いかにしてほんものの白人アメリカ男性が生まれるか」についての国民的物語・シンボル 白人たちが無自覚なため黒人女性によって白人研究がなされる。

明治時代:「上等人種/下等人種」=「上流階級/下流階級」 例1)娼婦は「下等人種」のなかからうまれ、生来「淫乱」だからだ。  例2)植木枝盛の言行不一致=階級による女の二重基準

 

 「聖女」と「娼婦」の分断支配

ミソジニーのアキレス腱=母 ミソジニーには女性蔑視と女性崇拝の二面性を持っている←性の二重基準

ミソジニーの歴史:近代家族の形成期に産業としての売買春が成立している

性の二重基準=男向けの性道徳と女向けの性道徳が違うこと その結果・女性を二種類に分割 生殖用の女/快楽用の女 そしてこの快楽は男側の快楽である

「分割して統治せよ」=男による「聖女」と「娼婦」の分断支配 例)日本人慰安婦と非日本人慰安婦 例2)国防婦人会の「白い割烹着」

女のセクシュアリティは生殖向きと快楽向きとに分断・対立・疎外されてきた 抑圧と搾取

 

 性の二重基準のディレンマ

性の二重基準→男側にも悲喜劇がうまれる 性の対象として見るか/みないか 愛しているからセックスしないできない?

植木枝盛の言行不一致=用途別使い分け 「身分」は越せない「人種の壁」だった 揺るがない正妻の座

「聖女」と「娼婦」の分断支配への日本での告発=ウーマンリブマニフェスト田中美津の「便所からの解放」

生殖テクノロジーのもとでは「性欲処理機械」/「産む機械」→マーガレット・アトウッド『侍女の物語』が現実に 人工授精・代理母ビジネス

男たちが震撼したのは「しろうと女」と「くろうと女」の垣根が(ほとんど)なくなったことであり、「しろうと女」に性的価値があることを「発見」した

 

④「非モテ」のミソジニー(p.53~72)

 「性的弱者」論の罠

宮台:「セックスの相手を見つけるシステムが『自由市場化』すればするほど、多くの男たちが性的弱者としてあぶれるようになる」

女性の性的弱者は「性の市場」にプレイヤーとして登場すらしない 知的障害を持った女性は女であることを剥奪される一方で、セクハラの対象になる

性の市場に登場するプレイヤーにはジェンダーの非対称がある

「性的弱者」論:弱者は社会現象であり、弱者を弱者たらしめているのは社会の側だから、社会側に救済の責任がある *女性側には反転しない

赤木智弘:自分たちのような性的弱者をキャリアウーマンは「主夫」として養う義務がある 強者男性>強者女性>弱者女性>弱者男性

「性的弱者」論=自由市場を怨嗟・性の自由市場をいくらかでも前提として認める議論は全て「強者の理論」となる

 

性の自由市場

山田昌弘:性の自由市場では「魅力資源」は不平等に分配されているが、社会的資源だけに還元されるわけではない。「魅力資源」は交換価値ではなく使用価値で測られる

性の市場が規制緩和→男にもまた「対人関係の技術」が要求されるようになる

高度経済成長期に日本で初めて「再生産平等主義」=「全員結婚社会」→結婚せずに生きていく選択肢がなかった時代の別名

 

 秋葉原事件と「非モテ

非モテ」が「男性問題」としてとらえられる→2008年の秋葉原無差別殺傷事件 凶行の原因に「非モテ」 K君は努力しても変えがたいルックスを非モテの原因にしていた

性的弱者:現実の女性からかけ離れた「女とは何か」についてほとんど妄想の域に達した固定観念を持っている 「モテ」と「容姿」こそが人生最大の問題・格差社会の根本に位置する

性的弱者である男性は恋愛市場から降りる特権すら持っている 「男から選ばれないおまえは無だ」/「女から選ばれないおまえは無だ」のジェンダーの非対称性

性的弱者:「彼女がいること」がすべてのマイナスから自分を救ってくれる逆転必勝の切り札

「彼女さえいれば」オレは男になれるのか問題→男は男同士の集団のなかで正式なメンバーとして認められることで初めて男になる 女は加入資格ための条件・ご褒美 彼女がいる=女ひとりを所有する 社会的要因を優越していても「女ひとりモノにできな」男は値打ちが下がる

男にとって女の最大の役割は自尊心のお守り役

 

 格差婚の末路

藤原紀香陣内智則の格差婚→DVを理由に離婚

勝間和代の女性がインディであるための三条件:❶年収600万円稼ぐこと❷自慢できるパートナーがいること❸年をとるほどすてきになること ❷の「いい男」の条件に「年収1千万円以上」=「女の年収に対しそれくらいの年収がないと男のプライドがもたない」

 

 「男性保護法」の反動性

三浦展:「非モテ」が現代の男性にとって死活問題・「男性保護法」を提唱

いい女=男につごうのいい女・男性を奮い立たせる女性・母性を感じさせる女性 恋愛と生の自由市場化」に反対→メリットの最大受益者は男性

 

 「男になる」ための条件

現実に、現実の女に興味があるなら、対人関係を持とうと努力するほかない コミュニケーション・スキルが問われる→コミュニケーション・スキルは他の資源のように計量したり蓄積したりできない

三浦:「かつては学校や職場では男性同士がうまくコミュニケーションできればそれでよかった」

友人関係を維持するには高いスキルがいる 定型のない関係へのシフト